〈終着点〉-8
「あぁッ!?い…嫌あぁぁぁッ!!!」
サロトは苦しそうに仰け反りながらも、春奈の尻に顔を埋めた。
美少女に似つかわしくない、いや、本来の姿を垣間見せてくれる“悪臭”に、興奮しているのだ。
『んほぉッ!!これは糞の臭いじゃな?んふぅッんふぅぅッ……堪らん臭いじゃあ』
「へ…変態いぃッ!!この変態いぃぃッ!!!」
薄らと春奈の瞳に涙が浮かんだ。
美津紀と麻里子を狂わせ、瑠璃子を性の道具として扱い、そして今現在までも美津紀を性の家畜として飼育しているサロトを、春奈は許す事は出来なかった。
肉体も精神も、そして人生までも略取する鬼畜に、自分だけは負けられないと思っていたのだ。
この縄が解ければ……振り回す脚がいくら虚しさを増幅させても、その抗いを止めるつもりは無かった……。
「あ…貴方みたいな変態、このままでいれると思わないでよ!!」
精一杯の怒号のつもりが、なんとも幼稚な綺麗事にしか聞こえない……臭いを嗅ぐ事を止め、股間の向こうから見つめてくるサロトに叫んでみても、その蕩けた瞳に変化など無かった。
『グフフ……ワシは変態じゃよ。その変態の花嫁に春奈ちゃんは成るんじゃ……』
サロトはゆっくりと上体を起こし、そして春奈に覆い被さるように近付いた。
春奈がいくら睨もうが、その歩みは止まらない。
そしてグローブのような太くて大きな掌が、春奈の胸を覆った。
「何するのよッ!!き…気安く私に触らないで!!!」
スーツのボタンはブチンと弾け、コロコロと冷たい床を転がった。
膨らみを帯びたYシャツをサロトは優しく撫で、ブラジャーごと幼い胸肉を揉みしだいていく。
春奈がブンブンと頭を振り乱そうが、長い髪がサロトの顔を撫でるのみで、それは攻撃とは呼べない。
『ムッフフ……初めは美津紀も嫌がっておったぞ?じゃが、ワシの愛撫に段々と甘えだしてのう?』
「み、美津紀の悪口は許さないわッ!!貴方達が酷い事するから、あ…頭がオカシく……」
……春奈は反論を続けられなくなっていた。
船の中で専務は美津紀を馬鹿にするだけ馬鹿にしていた。
その憤怒も晴らしてはいないのに、サロトまでも美津紀を馬鹿にする台詞を吐いた。
誰よりも長い間、生き地獄を味わっていたのは美津紀だ。
年端もいかぬ少女が、異国の地で鬼畜共に監禁され、蔑まれ、嘲笑され、変態オヤジの欲望のままに凌辱の限りを尽くされたのだ。
そして、助けを願い縋る麻里子は目の前で凌辱され、その絶望に精神は破壊された。
どんなにか辛かったか。
どんなにか苦しかったか。どんなにか悔しかったか。
美津紀の無念を思うと感情が込み上げ、言葉が出なくなってしまったのだ。