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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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嫉妬......-17

「ねぇ?大丈夫だよね?」
梓が不安そうに呟いた。
「あたりまえよ!亜梨紗に限って......」
紗弥香もどこか不安そうだった。適当に時間をつぶして帰って来たが中に入るのが躊躇われた。なにしろあんなに自分の感情を露わにする亜梨紗を見たのは姉である紗弥香でさえ初めてだと言っていた。さすがにまだ暴力行為に及んでいるなんて思いたくないが....
「今頃二人で励んでいたりして......」
紗弥香が呟いた。
「何を?」
私が聞くと
「エッチ......」
紗弥香が呟いた。
「それだとどんなに嬉しいか....」
梓が泣きそうな声を出した。
「大丈夫だよ!今頃は仲直りしてるって!」
紗弥香が必死に梓を慰めていた。
「だといいんだけど....」
梓の気持ちが痛いほどわかる私は
「梓....気にするな!ってムリかもしれないけど....梓だけが悪いんじゃないから....嫌がっていた梓からムリに聞き出したの私だから....私にだって....」
梓の肩を抱き声をかけていた。
「何言ってるの....亜梨紗達なら大丈夫だよ....それを証明するために来たんでしょ....」
紗弥香もそう言いながらもどこか不安そうだった。
「いい?入るわよ!」
鍵を開けた紗弥香が私に確認して扉を開けた。
「ただいま......」
小声で紗弥香が呟いた。中は静まり返っていてテレビの音が微かに聞こえた。
「ケンカもしてないけどエッチもしてないよな....」
思わず私が口にすると
「まさか無理心中なんて事......」
「ちょっと梓!縁起でもない事言わないでよ!」
梓をたしなめた紗弥香もその可能性を疑っていた。
「入るわよ......」
普段なら、自分の家に入るのになんで小声なんだ!とツッコミを入れるところだが今はそんな雰囲気にならなかった。
「亜梨紗......いる?......」
遠慮がちにリビングを覗いた紗弥香が固まっていた。
「!!!!」
私が慌ててリビングを覗くと、ソファーに寄りかかって眠っている純君の胸で毛布にくるまって幸せそうな顔で眠っている亜梨紗が目に入った。
「良かった......」
梓が腰が抜けたように座り込んで泣き出した。
「私のせいで二人が別れる事になったら.....私は......私は......」
「梓......良かったなぁ......」
私は梓を抱きしめた。梓と同じく罪の意識に苛まれていた私もホッとしていた。
「しっかし....幸せそうな顔してるな......」
梓を促して亜梨紗達を見て私が呟くと
「そうだね....羨ましいくらい幸せそうな顔してる......」
梓が笑顔で呟いた。
「畜生....妹のクセに....高校生のクセに....私よりも早く彼氏を作りやがって......なんで私がそんな妹の心配をしなければならないんだ?」
そんな本音につい笑ってしまう余裕も生まれていた。
「ん?あっ!梓さん....」
純君が目を覚ましたみたいだった。
「悪い....起こしてしまったか?」
梓が言うと
「いえ......えっ!!」
純君は自分の状況に気づいたみたいだった。自分の胸で亜梨紗が眠っている事に......
「しぃっ......亜梨紗が起きるだろう......」
純君は頷いて、亜梨紗の肩を抱いて、毛布を亜梨紗の口元まで上げた。そんな何気ない純君の仕草に、亜梨紗への愛と優しさを感じられ、私達の顔にも微笑みが浮かんでいた。
「ん?純......起きだの?」
亜梨紗が指先を純君の頬にあて顔を亜梨紗の方に向けていきなりキスをした。
「!!!!」
亜梨紗の大胆な行動に一番驚いたのは純君だった。


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