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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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嫉妬......-11

「ねぇ....さっき叔母さんと何を話してたの?」
コンサートホールからの帰り道、私は純に尋ねた。
「えっ?」
「アタシがピアノを弾いている時だよ!」
「ああ......」
純はクスリと笑った。
「何が可笑しいんだ?」
「亜梨紗は天才だって言ってたんだよ!」
「えっ!?」
驚く私の隙をつき純は私の手を握った。
「お前は!」
「イヤなら振り解けばいいだろ!」
「だってアタシの手は....」私の手はピアノの練習のためにマメだらけなのである....女の子の手とはほど遠い......
「そんな事気にするな!前にも言ったけど、亜梨紗のその手は勲章だろ!ピアニスト美浦亜梨紗の!」
私は思わず純の手を握る手に力を込めた。
「あのさ....今日..父さんと母さんが旅行でいなくて....姉さんも梓さん達と飲むって言ってたから遅くなるみたいなんだけど....家に寄っていかないか?」
(ちょっと待て!それじゃまるで誘っているみたいだぞ!っていうか誘っているんだけど......)
「いいのか?」
「うん......」
「それじゃ......」
「うん......」
その時、私は頭をフル回転させていた。部屋は片づいているかとか....下着は見られても大丈夫なヤツかとか......
(アタシは何を期待してるんだよ!)
そんな事を考えているうちに家についてしまった。
「どうぞ....入って......」
そう言って玄関の扉を開けた時
「ウソだろ!梓!」
姉さんの声が聞こえた。
「えっ!」
私は純の顔を見た。純はがっかりしたような....ホッとしたような複雑な顔をしていた....それはたぶん私も同じだったと思う....



「静かに!音をたてないように私の部屋に行こう!それにしても昼間からお酒を飲むなんて....」
亜梨紗はそっと俺に耳打ちした。俺もその意見に激しく同意した。梓さん達は夕方だというのにすでに出来上がっていた。
「梓!本当にヤッちゃったのか?」
香澄さんの声がした。
「!!!!!!」
(ヤバい!)
俺の中で全力で警戒態勢を取っていた。亜梨紗は立ち止まって梓さん達の話に聞き耳をたてていた。
「相手は誰なんだ?」
香澄さんの追求が始まった。
(梓さん!お願いだ!言わないでくれ!) 「言えない......」
(そうだ!言ったって誰も幸せにならないんだ!特に俺が!)
「あの....亜梨紗?」
ダメもとで亜梨紗に小声で話しかけたが
「黙れ!」
亜梨紗に小声で返されて終わりだった.....
「もしかして相手は私達の知っているヤツか?」
香澄さんの取り調べが確信をついた。
「ウッ......」
「その顔は....そうか....私達の知ったヤツか....さぁ吐け!吐いて楽になったらどうだ?」
(梓さん......言っちゃダメですよ!)
「ダメ....言えない....相手がわかったって....誰も得しない....不幸になるだけ......」
(そうだ!梓さん!言っちゃったら誰も幸せにならない!特に俺が!)
しかし、香澄さんの取り調べは激しくなっていった。




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