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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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どっちつかずの気持ち-8

「なーんだ、つまんない」


クミちゃんは口を尖らせながら、吸っていた煙草をバケツの中に放り込んだ。


そして、クミちゃんは散々この場の雰囲気を気まずくさせてから、喫煙室のドアの向こうに建設課の桑原さんが通り過ぎるのを目ざとく見つけると、


「あ、桑原くんだあ!」


と、急いでドアを開け、彼の後を追っていってしまった。


嵐が過ぎた後の静けさは、とんでもなく重い空気が漂っている。


いつもなら、あたしが久留米さんに何か冗談を言ったりできるけど、今は到底そんな気分になれない。


それほど、久留米さんの素っ気ない否定の仕方があたしには痛かった。


メイをきっかけにして、距離が縮まったと思っていたあたしと久留米さん。


“たまにメイに会いに来て下さい”とお願いした通り、久留米さんを家に誘えばほんの少しの時間だけどメイに会いに来てくれたり。


たまにメイには滅多に食べさせないちょっとお高い缶詰めのエサなんかを久留米さんからもらったり。


まるでメイが間を取り持ってくれたかのように親密になっていった。


でも、そう思っていたのはどうやらあたしだけだったみたい。


あたしは、下唇を噛み締めたまま苛立ちを投げ捨てるつもりで煙草をバケツに放り込んでみたけれど、苛立ちだけがブスブスくすぶっていた。


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