どっちつかずの気持ち-6
その時、あたしの横に立って細いメンソールの煙草を吸っていたクミちゃんが、人差し指を頬にあてながら、
「あれ? 玲香さんと久留米さんって付き合ってるんじゃなかったんですか?」
と、脳天気な声を出した。
その言葉に目を見開いて仰天した顔になる久留米さんと、顔が真っ赤になって煙草を落としそうになるあたし。
「ちょ、ちょ、ちょっとクミちゃん!
それ誤解だから!」
慌ててクミちゃんに否定するも、彼女は間延びした声で、
「だってぇ、よく二人でここで仲良く煙草吸ってるし、すごくいい雰囲気だし。
みんな言ってますよぉ、“あの二人が喫煙室いると、邪魔しちゃうから入れない”って」
「クミちゃん!」
天然もここまでくれば目眩がしてくる。
「それに二人、とぉってもお似合い!
二人とも背高いし、なんかカッコいい大人なカップルって感じです。
ね、副島主幹?」
クミちゃんはそう言って、副島主幹にニッコリ微笑んで同意を求めている。
悪意がないだけ、余計にクミちゃんの発言に焦り出すあたしは、久留米さんの反応を知ることが怖くて下を向くしかできなかった。