どっちつかずの気持ち-22
◇ ◇ ◇
駅はすぐそばだというのに、あたし達がいる空間はまるで別世界のように静かだった。
昼間なら規則正しくみっしり並ぶカラフルな車の列も、この時間になるとまばらで数えるほどの車しかない。
あたし達は、立体駐車場に停められていた久留米さんの車の中にいた。
エンジンはかけずにエアコンだけをきかせていたけれど、窓も閉め切った気まずい空間に耐えられなくなったのか、しばらくして彼は“煙くなるから”と窓を開け、煙草を吸い始めた。
初めて座る久留米さんの車の助手席に、あたしは舞い上がるわけでもなく、ひたすら俯いて身を縮こませているだけだった。
カーステレオからも何も聴こえてこない状態。
喧騒がやけに遠くに感じるほど車の中は静かすぎて、耳が痛くなるほどだった。
久留米さんの煙を吐き出す息遣いがため息にも聞こえて、あたしはこの場から逃げ出したくなるような罪悪感に襲われていた。