どっちつかずの気持ち-12
塁にはあの娘がいるから誘っても無駄だと諦めの気持ちと、久留米さんと一緒にいる時間のおかげで、あたしは塁に連絡を取らずにこれたのだと思う。
でも、今のあたしは、なんでここにいるんだろう。
塁だって好きな娘がいるのになんであたしを誘うんだろう。
塁は基本的に真面目だから、浮気するタイプじゃないのに、こうやってあたしを誘うってことはうまくいってないのかな。
以前なら、きっとそれに安堵していたはず。
いや、今も安堵はしているけれど、多分意味合いは微妙に変わってきている。
塁に対する想いは、少しずつ変わってきている。
でも、まっすぐあの人の元に飛び込む勇気は……。
あたしは、こないだ副島主幹が話してくれた久留米さんの過去を思い出すと、ムクッと身体を起こして塁に向き直った。
「塁、もっかいシて」
「は? マジで言ってんの?
少し休ませろって。まずは風呂行こう……」
あたしは驚いた顔の塁を無視してベッドから降りて床に膝をつくと、彼の脚の間に顔を埋めた。
まだ固さの残るそれを口に含み、頭を揺らす。
「……っ」
声にならない塁の呻きが微かに聞こえた。
さっきまであたしの中に入っていたそれは、ゴムの匂いや塁の果てたあとの青臭い匂い、あたしの味が混ざり合っていて、思わずえずきそうになったけれど、あたしは構わず頭を動かし続けた。