どっちつかずの気持ち-11
◇ ◇ ◇
「……玲香?」
不意に塁が視界に入ってきて、あたしは我に返った。
「え?」
「え、じゃねえよ。
何ボーッとしてんの」
塁はベッドに脚を下ろして煙草を吸い始めた。
そうだ、さっきまであんなに夢中で声を上げていたはずなのに、あたしはぼんやり久留米さんのことを考えていたんだ。
さっきまでは、塁とあの娘のことを考えて苛立っていた自分もいて。
ホントどっちつかずだなあって自分に呆れかえる。
「ああ、ごめん。
気持ちよすぎて放心してた」
なんて、言い訳なんかしてしまった。
いや、気持ちよすぎってのは事実であたしは何度か上り詰めたけれど。
それでも、虚しさは今になって容赦なく襲いかかってきた。
「久しぶりだからか?
お前、普段なら10日も会わないうちに俺に連絡寄越すのに、最近全然連絡くれねえんだもん。
オレの方がしびれきらしちまったよ」
そう言ってあたしの裸の胸にそっと手をあてがった。
久留米さんと飲みに行って、もう身体だけの関係はやめると言った通り、あたしは塁に連絡をしないでいた。