第2章 疑惑-10
「ねぇ‥見て‥」
女の子の大事な割れ目は大きく押し広げられ、指が深々と突き入れられていた。
あたしだって年頃の女の子だから、自慰をしたことがないなんて言わないけど、こんな風に他人がやってるのを見るのは初めて。しかも知っている人の、それもアップで見せられるなんて、恥ずかしさで頭がおかしくなりそう。
もぞもぞとしていた動きが激しさを増し、グチュグチュといやらしい音が漏れ始める。画面が引くと撮影者の趣味なのか、再び足元から徐々に這いあがるよう、ベッドの上で妖しく身悶えする身体を映し出す。
「‥はっ、‥あっ、あン‥‥あぅン‥」
もうわざとらしい素振りはなく、先輩はあからさまに欲情していた。リズミカルに身体を揺すらせ、股間を弄る手の動きが早まる。ビデオなど意識してないのか、顎を逸らせ、恥ずかしい喘ぎが絶え間なくこぼれる
「あン‥あン‥あン‥、あっあああン!」
ついにクライマックスを迎え、一際高い喘ぎと共に大きく身を逸らせ、力が抜けたようにぐったりとなる。押さえた股間からは愛液が滴り、そのまま身をよじって快楽の余韻に浸る。
一瞬が永劫とも思え、あたしは息をのんで画面を見守った。やがて、荒い息を整えて先輩は身を起こすと、ビデオのほうに物欲しげな顔を向ける。
「あはっ、やっぱり指じゃ全然ものたりない。今度は貴方の太いので遥香を満足させてくださいね‥」
そして、またあの媚びるような上目遣いで画面に近づくと、淫靡な笑みを浮かべる。
「鳳学院売春倶楽部でお待ちしてます」
唐突に映像は終了する。ブラックアウトした画面には、あたしたち三人の茫然とした顔が朧に映っていた。
「‥んなのよ」
重苦しい沈黙を最初に破ったのは、瀬里奈の絞り出すような声だった。
「何なのよ、これは!」
乱暴にパソコンデスクを蹴飛ばして立ちあがると、怖い顔の瀬里奈は紫苑に詰め寄る。
「紫苑、まさかあんたの悪ふざけじゃないでしょうね!」
いつもの落ち着いた様子もなく、青褪めた顔の紫苑は首をぶんぶん振って否定する。動揺するのも無理ないが、瀬里奈は今にも殴りかからん勢いだったので、あたしは慌てて割って入る。
「落ち着いて、そんなわけないでしょ!」
「じゃあ、これはいったい何なのよ!」
平手がデスクに叩きつけられ、バンッ、と大きな音がたち、怯えたように紫苑が身を竦める。ここまで怒り心頭な瀬里奈を見るのは初めて。まずいわね、あたしが冷静にならなきゃ。そもそも何故彼女は怒ってるの?