夢か現(うつつ)か-5
――昨夜見た光景と、福沼さんが貸してくれたDVDの内容がごっちゃになっていたんだ。
DVDの出演女優自体は、言われれば似てるかな、程度のものだった。
それでも、初めて見るレズものはなかなかに刺激的で、ちょうど小夜と会えない時期と重なっていたこともあり、何度もそれを観てはオカズにしていたんだ。
その強烈な内容が、印象に残っていたから、酔っ払った頭ん中で勝手に小夜と松本に置き換えてしまったんだ、きっと。
そう結論づけると、ようやく気分はすっきりした。
となると、小夜の身体も当然俺のもののまま。
安堵すると、途端に小夜に触れたくなった。
「小夜……」
俺は、黙って見つめている小夜の後頭部を抑えると、そっとキスをする。
「んん……」
舌を吸いながら、ゆっくり押し倒すと、小夜が恥ずかしそうに頬を赤らめていた。
日差しが差し込むレースカーテンに、更に遮光カーテンをシャッと引いて、完全に外からの視線を遮ってやる。
しかし、春の日差しは結構強く、黄色いカーテンが光を受けて部屋全体は薄明るいままだ。
いつもの小夜ならこれぐらいの明るさだと、裸を見られちゃうと、セックスを拒否する。
でも、夢に見るくらいこんなに小夜に飢えているせいもあってか、ダメモトでアタックするつもりで小夜の胸を触った。
ただ無理強いだけはしない。
あまりしつこくすると小夜は、自分の身体に悩んで松本に相談するという、あの悪夢が現実になってしまいそうだから。
「翔平、朝御飯は……」
「小夜、無理強いはしないけど、お前さえよければ今すぐ抱きてえんだ」
小夜の髪を何度も梳いてやりながら、俺は真面目な顔で彼女を見つめた。
「え?」
「もちろん、部屋の中が少し明るいから、お前が抵抗あるのはわかってる。でも、お前が自分の身体をいくらコンプレックスを持っていたとしても、俺はそのコンプレックスなんて全然気にならないから」
「翔平……」
「俺は、小夜の全てが大好きで、それは揺るがない。だからお前はそれだけ信じて」
そこまで言うと小夜は瞳を潤ませて、
「うん……!」
と、髪を梳く手をキュッと握ってくれた。