∀ 一家惨殺事件-6
よくわからなかったけど、いっぱい痛いことされて殺されるのだけはわかりました。ぼくはうんとうなずきました。
「坊主、死にたくないか?」
ぼくは何回も何回も大きくうなずきました。おとこのひとがまたぼくのあたまをなでて笑いました。
「わかった。そうしたらな、坊主、上で新しい服に着替えてこい。コートはあるか? できれば、フードがついてるやつがいい。それを着たら、フードを被って、このバックを──」
そういっておとこのひとは黒いバックをぼくに持たせました。すこしおもいバックでした。
「これを持って、町の時計台の下にいけ。時計台、わかるか?」
ぼくはうんとうなずきました。
「そうか。一人で行けるよな?」
ぼくはうんとうなずきました。
「いい子だな。時計台の下に着いたら、しばらくそのまま待ってろ。坊主がいい子にしてたら、おっかない顔したおっさんが声をかけてくる。ああ、バックはちゃんと肩にかけて、見えるようにしとけよ。おっさんは一見怖い顔をしてるけど、坊主を助けてくれるからな。おっさんの言うことをちゃんと聞けよ、わかったな?」
ぼくはうんとうなずきました。
おとこのひとがきがえてこいというので、ぼくは二階の部屋でおとこのひとがいったようなぼうし付きのコートにきがえて下におりました。
「お兄ちゃん……?」
おとこのひとはお姉ちゃんの上にたおれていました。血をながして死んでいました。
ぼくは泣きながら必死におうちをでました。泣きながらいっしょうけんめい走りました。
2000/06/12 PM20:37〜