制服の記憶 ☆-2
椅子に座り拷問の様な羞恥から解放され、スカートの裾をなおしはじめる少女。
出来ればポケットの中のパンティーだけでもすぐにでも穿きたい。
そう出来ればかなり落ち着ける。
そうしたいのだが、今なお極度の緊張状態で全身に力が入らず膝が震えている。
それどころか意識も危うく朦朧としている。
そんな意識の中、少年の声が微かに遠くに聞こえる様に思える。
「違いますよ、石崎さん。僕が見たいのは、石崎さんの中心なんです。つまり、佑香の●ンコ」
微妙に少年の言葉使いが変化している。
再び佑香の意識は遠のいて行く。
「…… ●ンコ?」
遠くで聞こえる、この言葉を聞くのはちょうど1週間前。
佑香が所属する吹奏楽部の部活動後。
帰宅の準備を整える佑香を呼び止めるクラスメート。
「あの、石崎さん、ちょっとお話がございましてお時間頂けますか?」
少年の名は千章流行、佑香のクラスメートである。
「えっ、なあに千章君」
勉強も運動もソコソコ、どちらかと言うとクラスでも目立つ様な存在では無い。
そんなイメージが、少年に対して佑香にはあった。
それに比べて当の佑香は、運動こそ苦手ではあったが学業は常に学年トップでクラス委員も務める。
加えて音楽の才能も非凡で、所属する吹奏楽部ではすでに中心的存在で次期部長候補。
可愛らしいルックスは同級生はもとより、上級生からも人気がありアイドル的存在であった。
「ちょっと、見ていただきたいものがあるのですが…… あぁ、もちろん石崎さんだけじゃなくて、クラスのみんなの分も用意してありますが…… まずはご本人の石崎さんへと思いまして……」
同級生なのに、妙によそよそしく遠慮がちに話す少年。
千章君って、こう言うしゃべり方するんだ?
同級生ではあったが、入学以来特に会話した事の無い存在だった少年。
(ちょっとイメージと違うかな?)
そう思いながら、差し出された2枚の写真に目をやると見覚えのある風景。
それは数日前行われた課外授業での集合写真。
佑香を含めて同級生の女子生徒10人が二列で写っている。
前列左から二人目が佑香だ。
しかし何か変、この写真?
その異常に佑香はすぐに気付く。
(スカートの中が……)
見る見る赤面する佑香。
更に2枚目の写真を見ると、千章少年の悪意が明白になる。
2枚目は佑香のみの位置を、大きく引き伸ばした写真。
それは体勢を崩して、バランスを取る為に両脚を拡げてしまった瞬間を捉えた物。
良く見ると拡げられた両脚の付け根に位置する筋が張り、あの部分を包み隠す布が恥ずかしい位に密着して露骨な線を浮かび上がらせている。
見ているだけで赤面してしまう程恥ずかしい写真。
いったいなんで、こんな物が存在しているのか?
佑香の脳裏が当日の出来事を思い返す。
確かに当日、こんなアクシデントはあった。
しかし、この出来事は集合写真撮影前のはず?
写真を撮ったのは、この出来事の後のはずである。
(なぜこんな写真が? )
実は佑香の入学当時から、好意を寄せる上級生に半ば強制で千章少年が写真撮影を頼まれていたのだ。
千章少年は写真部の立場を利用して、より佑香のプライベートな表情を撮るように心がけていたのだ。
それはなにも上級生から頼まれなくても、自分自身の為に予定されていた行動でもあった。
少年にとっても同級生の石崎佑香は、中学入学以来憧れの存在であり欲望の対象でもあった。
(まるで人形の様な透明感を持った少女)
それが千章少年の、佑香に対する第一印象であった。
結果的には偶然の要素も多分にあるが、正に千章少年の佑香への執着こそがベースになっていた。
実際の集合写真準備前の段階から、佑香に注視し数十枚撮影していた中の一枚がヒットしたのだ。
集合写真の構図はこうである。
後列生徒は直立。
前列生徒は皆、片膝を立てもう片方の膝は地面に付ける姿勢。
無論スカートの中が覗けない様に両脚はキッチリ閉じている。
しかしこの時、後列佑香の友人がふざけて前列にいた佑香の肩を押した。
ホンの一瞬の出来事。
佑香はバランスを崩して、まるで相撲取りが取組前の蹲踞の姿勢の様に無様に両脚を大きく拡げてしまう。
更に悪い事は重なる物で通常中学女子スカートの中は、ブルマ着用だがこの日は課外授業の解放感からパンティーのみ。
佑香お気に入りの薄ピンク色のパンティー。
佑香が中学校の花形、吹奏楽部に所属するのに対し千章少年は写真部。
吹奏楽部は部員60名からなる、地区大会優勝常連校である。
一方写真部なる物は部員僅か5名で、活動内容は修学旅行や課外活動の際に生徒を撮影する程度で影の薄い存在。
クラスのアイドル的存在、佑香のまさかの失態。
佑香にそれ程好意を懐いていなくても、思春期の少年なら誰もが興味を持つだろう。
呆然と立ち尽くす佑香の耳に少年の声がようやく届く。
「良かったら交換していただけませんか? この写真全部と、ネガも含めてなんですがどうですか?」
(交換と言ってもいったい何と交換をすれば? )
当方に暮れる佑香に少年が追い打ちをかける。
少年は佑香に歩み寄り、表情を変える事無く囁く。
「佑香の●ンコが見たい」