片思いと失恋-2
「おー、ゆえだ」
「あっ、ナオさんお帰りなさい」
ゆえちゃんと下校のときに、
背の高い女の人に声をかけられます。
サラサラの長い髪の、きれいな人です。
「こんにちは」
胸さわぎがします。
「はい、こんにちは。
ゆえ、私ジム寄ってくるから。いつもの時間に帰るね」
「はい。今夜はボルシチですよ」
「ウフッ、ガッツリ走ってお腹を空かせてくるよ」
女の人は、よだれを垂らしそうな顔をして行きました。
「きれいな人だね」
「うん、ナオさんって言うの。
えーと、お姉ちゃんじゃないけど家族なの」
「一緒に住んでるんだ。ゆえちゃんがご飯つくるの?」
「うん、ナオさんに勉強見てもらってるし、
いろいろ面倒見てもらってるの」
「ゆえちゃん、あんまり自分ちのこと言わないよね」
「うん…。 うちお父さんいないし、
事情があってお母さんとも一緒に暮らしてないから…」
「そうなんだ…。 …ナオさんのこと、好きなの?」
「えっ?どうして?」
「なんとなく。
ゆえちゃん、大人っぽくなったっていうか、なんか色っぽくなったし」
「…うん。…誰にも内緒だよ。ナオさんは女の子が好きなの」
「…そうなんだ…。 私…こっちだから…」
「うん、また明日ね」
「またね…」
私は家に帰って、布団をかぶって泣きじゃくります。
(うっ、うあっ。ゆえちゃんには好きな人がいるんだ。
あんなにすてきなお姉さんと好き合っているんじゃ、
私、なんにもできないよ。
悲しい…悲しい…。 胸が張り裂けそう…)