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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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うちの愛猫-1

なんとなく義理で送ってくれてるのはひしひしと伝わるものの、こんな風に肩を並べて歩くとやっぱり心臓は高鳴ってしまう。


こうして歩いていれば、恋人同士に見えるのかな、なんてニンマリしながら。


嬉しさが足元にも伝染しているのか、カツカツ鳴るサンダルのリズムも軽快に聞こえる。


にやけた顔で肩越しの久留米さんをジッと見れば、


「あんまジロジロ見ないでくれる?」


とからかうように笑われた。


その笑顔にまた顔が熱くなって。


何でもない女の恋愛相談にのってくれ、奢ってくれ、さらにはこうやって家まで送ってくれる。


久留米さんは無愛想な鉄仮面男だと思っていたけど、知れば知るほど優しさが滲み出ている。


この人に愛されたら、きっとめちゃくちゃ大事にしてもらえるんだろうな、という気がした。


それと同時に、久留米さんの諦められない人ってのがどんな人なのか、気になって仕方なかった。


……あたしじゃ、ダメだろうか?


ふとそう思いながら、あたしは久留米さんの横顔を見つめる。


でも、恋愛相談にのってもらった身だ。


散々塁のことを話しておきながら、手のひらを返したみたいに久留米さんと騒ぐのは尻軽女にもほどがある。


だからあたしは、


「いや、久留米さんがこんなにおしゃべりだったのが意外で」


と当たり障りのない答えを返した。





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