投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 104 もう君に会えない 106 もう君に会えないの最後へ

うちの愛猫-2

 






10分もしないほどの距離を歩いたあたし達は、見慣れた家の前で立ち止まった。


門灯の周りは小さな虫が飛び交って、その羽音が聞こえてきそうなくらいの閑静な住宅地の一角。


あたしは久留米さんに向き直ると、深々と頭を下げた。


「こんなとこまでわざわざ送ってくれてありがとうございました!」


「いや、半ば俺が強引にそうしただけだから。

じゃあ、おやすみ」


久留米さんは微笑んでから小さく手を上げ、あたしに背を向けた。


すぐさま歩き始める彼の背中がなんだか名残惜しい。


あたしの誘いに付き合ってくれ、奢ってもらって、家まで送ってくれて、このままはいサヨナラなんて、申し訳なさすぎる。


「あの、よかったらうちに上がってお茶でも飲んでいって下さい」


気付けばあたしは彼の背中にそう言葉を投げかけていた。


すると久留米さんはゆっくり振り返り、


「気持ちだけもらっとく。

大体、こんな時間に男が上がり込んだら親御さんに心配かけちゃうだろ?」


と、笑いかけた。





もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 104 もう君に会えない 106 もう君に会えないの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前