うちの愛猫-11
「ま、コイツにはコイツなりの想いがあるんだろうな。
でも幸せだろ、コイツは。
そこまで気にかけてくれる人に飼われてさ」
「そうだったら嬉しいけど」
「宗川さんに拾われたのも、きっとなんかの巡り合わせなんだよ。
よかったよな、メイ。
優しい飼い主に恵まれて」
久留米さんはそう言ってメイの喉の辺りを優しくなでると、彼女はまるで返事をしたように、“ミャー”と小さく鳴いた。
こんな短時間ですっかり馴染んでしまった一人と一匹の微笑ましい光景を、あたしは目を細めて見つめていた。
◇ ◇ ◇
結局、久留米さんはメイのせいで30分以上も足留めをくらってしまった。
彼が玄関先で靴を履いている時もメイはトコトコついてきて、彼の足元にすりよったりしているし、単なる気まぐれで彼に懐いたようには見えなかった。
靴を履き終えた彼は、クルッと振り返って
「ここまで長居しちゃって悪かったな」
と、頭を下げた。
「いえ、メイのせいですから謝らないで下さい。
ほら、メイこっち!」
久留米さんの足元で座り込んだメイを無理矢理抱き上げ、やっとのことで彼から引き離す。