垣間見える過去-20
これじゃあたしが送り狼みたいじゃん。
少し前を歩く久留米さんの大きな背中を眺めて、ため息を吐く。
あたしと別れるのが名残惜しくて送ると言い張ったんじゃなかったのかな。
疑問符を浮かべながらも慌てて追いかける。
うーん、この人は本当に掴めない……。
彼がなんであたしを一人にさせたくなったのか、結局それはわからないまま、あたし達はコツコツとアスファルトを踏み鳴らしながら、まだまだ静けさを見せない駅前の大通りを通り抜けた。
それからしばらく一緒に帰り道を歩いていたけれど、彼の態度は至っていつもと同じで、どこか遠かった。
だからなるべくあたしも普段通りに彼と話をしていたけれど、出番のなかった勝負下着を身につけていた自分がとてつもなく恥ずかしかった。