投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

真実の扉
【その他 推理小説】

真実の扉の最初へ 真実の扉 1 真実の扉 3 真実の扉の最後へ

真実の扉〜プロローグ後日談〜-1

2005年3月19日(土)14:21―警視庁・捜査一課第1取調室―
 小さい窓、机しかない取調室に、刑事である高橋 俊作、加害者の雨宮 優がいる。
「さてと、諏訪 嘉一を殺した理由でも聞かせてもらおうか」
「その前にオレが犯人だっていう証拠はあるのかい?ダイイングメッセージだけで、オレを逮捕する事は出来ないんだろう?」
 俊作は顔に苦渋の色を浮かばせた。一方、優は俊作をからかっているのかニコニコと笑っている。
「なんてな。オレはな嘉一を殺してないよ。正当防衛なんだよ。正・当・防・衛」
「わかった、わかった。で、その正当防衛の経緯を聞かせてもらおうか」
 遠目を見て過去を思い出す様に――たった2日しか経っていないのだが――語り始めた。
「アイツに漫画を返す為に、アイツの家に行ったんだ。そしたら、アイツが酔っていた性もあるのかフラフラになりながら、返すのが遅いんだよ。テメエよ! と言って玄関にある暴漢用(別に必要だと思わないが)の日本刀を持ち出して、殺すぞ! って言ってきたからオレは身の危険を感じて、台所から包丁を持ち出してきて、襲いかかってきたから思わず腹を刺して逃げたんだよ」
 うん、うんと頷きながら話を聞いていた。
「だが、それは正当防衛になるかわからん――」
 突然事件を知らせる警報が鳴り出した。
『警視庁、警視庁! 東京都〇〇区×××1−2で殺人事件発生! 直ち現場に急行せよ! 繰り返す、東京都〇〇区×××1−2で殺人事件発生! 直ち現場に急行せよ!』
「おっと、残念だったな。後で、じっくり話を聞いてやるからな!」
 取調室の扉を開け、近くに居た捜査員に「こいつを留置所に打ち込んどけ」と叫ぶと捜査一課から出ていった。
     ※
2005年3月22日(火)16:23――武田探偵事務所――
「龍仁、いるかあ〜?」
 扉を開け、中に入るとの助手の水城 美穂(みずき みほ)ちゃん、探偵の武田 龍仁がいる。まあいわゆる、いつものメンバーだ。実はもう一人居るのだが、今日は来ていない様だ。「目の前に居るじゃないですか? 見えないんですか? 俊作君。あと、何しに来たんですか?」
 相変わらず、ムカツク。しかも、滅多に使わない敬語だ。だが、中学校からの付き合いなので、この状況に慣れてしまった。しっかし、この状況に慣れたオレもオレだ。
「見えます、見えます。この前の事件の報告に来たんです!」
 少しムキになりながら言う。
「悪かったって。でも、いつも報告なんかしてないだろ? 一般人には捜査状況は言えないとか言ってなかったか?」
「まあ、そうだが。まず、この前の犯人はほぼ九分九厘雨宮 優に間違い無いだろう」
 そう言うと龍仁はそうかと言って頷いた。一方、美穂ちゃんはさっきから奥でガチャ、がチャやっていた。何をしていたのか分からないが、コーヒーを出してくれた。出してくれたので、早速飲む事にするが、カップ越しに触るとぬるかった。わざとなのか?
「でも、それだけじゃないだろう? ここに来たのは」
 ぬるいコーヒーを啜りながら、驚いてしまった。本当に用件はもう一個あったからだ。
「どうして、分かったんだい?」
「カン、かな?」
 それでも、探偵かよ。とツッコミをいれる。それは、言葉には出さず心の中でいれる。
「まあ、オレからの挑戦状ってことで、クイズだ」
 いままで不機嫌っぽい顔をしていたのだが、クイズという響きを聞いて、顔が変わった。コイツは、昔からこういう事好きだからなあ。一応、美穂ちゃんにも声を掛ける。奥で、食器でも洗っていたみたいで、手を拭きながら事務所の方に来た。


真実の扉の最初へ 真実の扉 1 真実の扉 3 真実の扉の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前