裕樹の部屋で(PW4版)-5
処女の結衣にとっては、これが限界だった。羞恥心、背徳心、恐怖心、それと極限状態の中での快感。色んな感情が一気に昂ってしまった結果、
「うええええええん」
結衣は子供のように泣きだしたのだ。これには裕樹も吃驚した。気の強い姉が泣きだすとは思わなかったし、ましてや結衣のこんな泣き方を今まで見た事も無かったのだ。
「ええん、虐めないで、虐めないで、うえええええん」
この状態の女を前にすると男はどうなるか?
裕樹もご多分に漏れずに、ある種の反応を示した。
そう、女の涙の前に男はオロオロするのなのだ(一部のSを除く)。
「ご、ごめん、結衣、いや、お姉ちゃん、もうしないから泣くな、なっ、なっ」
裕樹は覆いかぶさっていた結衣から体を離して、結衣の肌けたパジャマを直そうと手を伸ばした。
そこへ全く予期しなかった結衣の平手が飛んできて、裕樹の頬を思いっきり引っ叩いた。
「バカーッ!」
結衣は裕樹の耳元で叫ぶと、素早く身を起こして裕樹の部屋から飛び出して、自分の部屋に駈け戻った。結衣はそのままベッドに飛び込むと、顔を枕に押さえつけながら再び「わーん」と泣きだしたのだ。
裕樹は一晩中聞こえる結衣の忍び泣き声を聞きながら、痛む頬をさすりつつ、罪悪感に身を捩らせて一睡も出来ずに一晩を過ごしたのだった。