真弓の告白(PW4版)-1
【真弓の告白(PW版)】
「ねえ結衣、あのサッカー部の1年って、結衣の弟じゃない?」
同じ硬式テニス部でクラスメートの真弓が、テニスラケットの素振りの手を止めて結衣に尋ねた。
「はあん?どれどれ?」
結衣は気の無い返事をしながら、真弓の指差す方に顔を向けた。
「ほら、あの背の高い子。あれって裕樹くんだよね?」
真弓の指差す人物は、新入生の力を見るための紅白戦に参加していた裕樹だった。
「見て見てドリブルで上級生抜いたよ、きゃあ、シュート!」
「おっ、決めた。さっすがあたしの弟ね」
結衣も弟の活躍に満更でもなかったが、次の真弓の申し出にそんなほのぼの感は吹き飛んでしまった。
「ねえ結衣〜、裕樹くんをあたしに紹介して」
「へっ?」
「あたし、裕樹くんと付き合いたい」
「ま、真弓、何言ってんのよ!正気?」
「正気も正気。去年、結衣の家に遊びに行った時に裕樹くん居たでしょ。ホントはあの時に一目惚れだったのよ。けどあの時の裕樹くんは、中学生だったから我慢してたわけ。でも同じ高校生になったからもう我慢しなくていいでしょ?」
真弓が畳みかけるように結衣に告白をした。
「ま、まじ…」
「大まじよ。1-A、出席番号3番、稲川裕樹くん、8月1日生まれの15歳、リーダーシップのある獅子座、全部チェック済みよ」
「い、いつの間に…。でもどうして裕樹なんかを?」
「結衣、何言ってんのよ。裕樹くんはバスケ部の赤木くんと並んで新入生でピカイチ人気なんだよ」
「うそ!」
「うそなもんですか!ああん、あの子にあたしの処女奪って欲しいなあ」
遠い目をハートマークにしながら裕樹を見つめる真弓は、実の姉の前でトンでもないことを口走った。
「バ、バカなこと言わないで」
真弓とは気が合うのだが、時折、際どいことを言うので、純情な結衣は対応に苦慮することがままある。最近では結衣の反応を面白がった真弓の言動はエスカレートする一方だったが、今回のこのストレートな発言に結衣は目を見開いて驚いた。
「バカなことじゃないよ。ここのところ、毎晩のオナニーのオカズは裕樹くんよ。ああん、裕樹くんとお○んこしたいなあ」
「ぎゃあ、ありえないありえない!何を口走ってるのこの女は!」
「何って、お○んこでしょ、お、○、ん、こ。ああん、裕樹くん見てたら、お○んこ濡れてきたみたい」
真弓はそう言いながら腰をくねらせモジモジしだした。
「わあわあわあ、聞こえない聞こえない聞こえない」
結衣は慌てて真弓の口を塞ぐと、今の卑猥な発言が誰かに聞かれていなかったかを確かめるために周りを見渡した。
「むむむっ、ぷはあ、い、息ができないじゃない、放して」
「もうっ、恥ずかしいこと言うからでしょ」
「別にいいでしょ、どうせ結衣も可愛い顔して毎晩お○んこ弄ってるんだろうし…うっ、ぐぐぐぐっ…」
真弓が最後まで言えなかったのは、結衣に首を絞められたからだった。
しかし実際のところ、結衣をからかう真弓の卑猥な発言は別にして、実の弟を『男』として見たこともなく、真弓の告白は結衣にとっては『ゲー』と言った感想しか無かった。
「ゲホゲホ、わ、わかったもう言わないから放して」
「もうホントに頼むからね」
結衣は一気に疲れが襲ってグッタリとなった。そんな結衣にお構いなく真弓は元気だ。
「ねえねえ、裕樹くんに彼女が居るのか聞いてくれる?」
「へっ?」
(裕樹に彼女が居るのか聞く?あたしが?)
結衣はその状況を想像してみた。
「無理無理無理無理無理無理無理無理――――!やだよう!そんなこと聞けない聞けない!」
「そんなこと言わないでお願い」
結局、両手を合わせて拝み倒す真弓に根負けをして、友人のために結衣はひと肌脱ぐ事になった。
「もうっ!強引なんだから真弓は!」
「ありがと。結衣ちゃんて可愛い〜」
「はいはい…」ゲンナリ。
「あっそうだ。もし裕樹くんに彼女居たら、結衣があたしと付き合ってくれる?」
「はい―――っ?」
本日何度目かの目を見開く結衣。
「だって結衣って可愛いんだもん。失恋した時に可愛い結衣ちゃんに傷を舐めて欲しいのよねえ」
「バカ…」さらにゲンナリ。
「ついでに結衣の可愛いお口で、あたしのお○んこも舐めて…うっ、ぐぐぐぐっ、ご、ごめん、もう言いません、ゲホッゲホッ」