真弓の失恋。そして…-1
【真弓の失恋。そして…】
さすがに2日続けてクラブは休めない。それに真弓にも裕樹が交際を断ったことを伝えないといけない。
日曜日の朝、夜明けに少し仮眠を取った2人は、揃って腰をふらつかせながら学校に向かった。
「真弓、おはよー」
結衣が部室の扉を開けると、丁度着替えている最中の真弓がいた。結衣は充実感溢れる声で朝の挨拶をした。
スポーツブラに包まれた胸は、結衣程の大きさは無いが、均整の取れた見事なプロポーションをしていた。
「あっ、結衣〜、昨日はどうしたんよ〜。ケイタイも繋がれへんし心配しててんで」
昨日は真弓からの連絡が有ることを想定して、朝から電源を落としていた。今朝、朝食後に電源を入れて最初に結衣がしたことは、裕樹のスマートホンに保存されている淫らな画像を赤外線通信で受け取ったことだ。
もちろん、それを見ながら盛り上がり、食後の一発を楽しんだ。
――「ああん、デザートお口に頂戴、ああああああ」――
今朝の精子の苦みを口の奥に思い出しながら、結衣は真弓に詫びた。
「ごめんごめん。ちょっと気分が優れへんかったからケイタイ切っててん」
「生理でもぶり返したんか?そう言えば歩き方が何か変やで。お股になんか挟んでるみたいや」
「そ、そんなんぶり返せへんし、何も挟んでないわ!」
ドキリとした結衣は慌てた。確かに処女を喪失した夜に、休むことなく性行為を繰り返した結衣は、いまだに股間に何か入っているような違和感を覚えていて、歩き方もぎこちなかった。
「まあ、あんたの生理はどうでもええわ。で、どやったん?」
「な、何が?」
真弓の聞きたいことはわかっていたが、ドキドキしていた結衣は思わずはぐらかしてしまった。
「何がて、裕樹くんのことやんか」
そう聞く真弓の視線を、結衣は反らしてしまった。
「も、若しかして…」
普段から気の効く結衣が、真弓が何を望んでいるか気づかないはずはない。勘の鋭い真弓はそれだけで察してしまった。
結衣も真弓が悟ったのを知り、言い難いことを打ち明けた。
「そやねん、裕樹って彼女居るんやて」
「うっ…」
心構えはしていても、やはりショックだった。真弓はガックリと肩を落とした。
「ごめん」
(真弓、ホンマにごめんな)
結衣は心から親友に詫びた。
「どんな子なん?」
呆けた顔で真弓は力なく聞いた。
「さ、さあ?(あんたの目の前に居る子や。けどこれは言われへん…)」
当然ながら結衣はとぼけた。
「そいつ絶対にブスやで」