青の荒野-7
そう言い残し、ガレットは軍本部に戻っていった。またもや軽快にジープを走らせ、一直線にアレフの所へ向かう。
「やぁ、おかえり。」
「おかえりじゃねぇよ!何半年も前からオレに黙って計画立ててんだよ!!」
笑顔のアレフにガレットは食いかかるように不満をぶちまけた。
「主犯は僕だけど共犯は中将だからね。」
「あのじじぃ…孫を騙して何やってんだ!それでも軍のトップクラスの人間かっつーの!」
「まぁ軍三番手のお偉いさんだけど、くさっても血縁者。仕方ないね。ガレットの昇級祝いだって言ってたよ。」
「大方、オレをEFに入れるために中尉にしたんだろ?その為にテストやらなんやら色々受けさせやがって。」
ぶつぶつ言いながらガレットはソファーに座った。ここはすっかり従兄の部屋で、少佐の部屋という感覚はなくなっている。
「中尉?」
「いまだけだよ!」
アレフの忠告は分かるがそれ以上に腹が立っているらしい。その原因を作った本人なのでアレフは諦めガレットの横に座った。
「どうだった?久しぶりの再会は。」
アレフの問いにガレットは落ち着き、ついさっき会ったティアラの事を思い出した。
感想なんて言い尽くせない。何から言っていいか分からないくらい、実は困惑していた。
「きれいに…なってた。すごく。」
「昔からきれいな顔立ちしてたからね。不思議じゃないけど、本当にきれいになったね。」
ガレットはアレフの言葉に頷いて共感する。
「緊張した。昔とは全然違う、オレやってけんのかなぁ。」
「…なに弱気になってんだか。なんなら僕が代わろうか?」
「茶化すなよ。」
ガレットは拗ねたようにアレフを睨んだ。だがアレフは相変わらずの余裕の微笑みでガレットに言葉を続ける。
「女性として意識しちゃった?」
「…かも、しんね。あの時はまだ幼さがあったけど…今は違う。やばいなぁ…まずいと思うんだけど、どうよ!?少佐!」
「うーん。僕はもう妻子ある身だからね。」
アレフの言葉に脱力し、やがて意を決したように立ち上がった。
「オレ戻るわ。」
「ガレット、明日から忙しくなるから、そのつもりでよろしく。」
「分かった。」