ライバル宣言?-3
朝、登校途中で、仲良く腕を組んで歩いている葛城君と笑美ちゃんを見かけた。声をかけようとした時、亜梨紗さんが現れて葛城君と仲良く話し始めて、私は胸騒ぎを覚えた。亜梨紗さんと葛城君の間にただならぬモノを感じたからだ。それに亜梨紗さんと別れた後も腕を組んで歩く葛城君と笑美ちゃんに嫉妬して、つい言わなくてもいい事を言ってしまった。私は改めて感じた。自分の嫉妬深さに....自分でもイヤになるが押さえ切れなかった。
「で?どうなの?」
私は並んで登校する葛城君に話しかけた。
「どうって....別に俺達はつき合ってなんかいないから....」
「えっ?でも....腕を組んで....」
「あれは笑美ちゃんが甘えているだけだよ!お兄ちゃんに甘えるみたいに....」
「そうなの?」
「うん....」
葛城君は本当にそう思っているみたいだった。
(葛城君って....相当ニブいんじゃ....でも....それなら私にもチャンスがあるかも....)
「葛城君今日は笑美ちゃんと一緒に食べるの?」
「ううん....どうして?」
「また笑美ちゃんの手作りのお弁当を食べるのかと思って....」
「今日は寝坊したから作れなかったんだって!」
(って事は笑美ちゃんが作る約束をしてたんじゃないの!)
「あのさ....良かったら....私が作ってきたお弁当を食べてくれない?」
「えっ?」
「実は昨日も作って来てたんだけど....一昨日のお礼....私はこんな事ぐらいしか出来ないから....昨日も笑美ちゃんと食べてたんでしょう?迷惑かなって思ったんだけどね....」
「笑美ちゃんと食べてないよ!昨日は拓弥と食べてたんだ!」
「えっ!?そうだったの?私はてっきり笑美ちゃんと....」
「そんなわけないだろう!」
「でも....今日は約束してたんでしょう?」
「昨日酔っ払っている梓さんを部屋まで送ったからね!だからでない?」
「そうなの?」
「うん!」
頷く葛城君を見て
(そんなわけないでしょう!笑美ちゃんのアピールでしょう!なんで気づかないのかなぁ....私には好都合だけど....でも....私の気持ちも気づいてもらえないんだよなぁ....)
「それで....お弁当だけど....」
私がお弁当を渡そうとすると
「あっ!どうせなら一緒に食べない?」
「えっ?」
「姫川さんが良かったらだけど....」
「私は別にいいけど....」
「じゃあ....そういう事で!」
「うん....」
(って....これって....狙い?亜梨紗さんが言ってたようにフタマタをかけようとしてるの?それとも天然?だとしたら....ある意味才能が....でも....今は自分をアピールしないと....)
「お昼休み....楽しみにしてるね!」
私は笑顔を葛城君に見せた。
「う..うん....」
葛城君は戸惑ったような笑顔を見せた。
(少しは私の事..意識してくれたのかな?だとしたら嬉しいんだけど....)
私の頭の中はお昼休みに飛んでいた。
(純兄ちゃん....やっぱり私の事....なんとも思っていないのかなぁ....)
そんな事ばかり気になって授業内容が頭に入ってこなかった。
(もしかしたら....純兄ちゃん....亜梨紗さんの事....だとしたら....私..適わないな....)
純兄ちゃんが好きだった茉莉菜さんの双子の姉の亜梨紗さん....茉莉菜さんに逢った事はないがきっとそっくりなのだろう....今朝の亜梨紗さんを見ていると、亜梨紗さんも純兄ちゃんの事....私の思い過ごしならいいのだけど....でも....自分に自信のない私はどんどん悪い方に考えてしまった....