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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの世界-2

こうして彼との距離が縮まっていくと、欲張りなあたしはもっともっと久留米さんのことを知りたくなる。


でも彼は、当たり障りのない話なら結構おしゃべりしてくれるけど、自分のプライベート……特に女関係、友達関係に話題が及ぶと、なぜか必ずそれらから話を逸らすのだった。


おそらく彼の“ワケ有りの過去”はここに起因してるのだろう。


知りたい気持ちはもちろんあるし、ダイレクトに女関係について訊ねてみようかと思ったこともある。


けど初めてまともに話をしたあの日、あたしが“彼女がずっといないって噂を聞いた”と言ったときの、悲しそうな彼の顔を思い出すとやはり口に出す勇気はなかった。


久留米さんは思いっきり振られたなんて言っていたけど、それを引きずって、今でも報われない恋で苦しんでいるのだろうか。


だとしたら、あたしだって報われない恋をしているし、お互いの苦しみを分かち合えるのに。


そう思いながらも、彼が他の誰かをそこまで想っていることを想像すると、なぜかどうしようもなく胸が苦しくなって仕方なかった。


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