第13章 2週間後の日曜日、その日なら妊娠の心配はないと思うの。-1
シャワーを浴びて部屋へ戻ると、先にシャワーを浴び終えたひたぎが窓辺の椅子に佇み、外の景色を眺めていた。長い髪をなびかせ、穏やかな微笑みを浮かべたひたぎは、あまりにも清楚で純粋な美しさを放っていた。
「どうしたの?そんなに見詰めて・・・」
「あ、ああ・・・こんなに美しい人を抱き締めたのだと・・・今更ながら感動してしまった」
「まあ、私は飾り物じゃないのよ。そう思うのなら、もう一度私を抱き締めて、言うことがあるでしょう」
立ち上がるひたぎを昴は抱き締め耳元で囁いた。
「愛してる」
「私もよ・・・ファーストキス・・・とても良かった・・・今日の思い出は、私の大切な宝物になったわ・・・あなたと出会えて良かった」
昴はひたぎをもう一度強く抱き締める。ひたぎは昴の腕の中で甘えるようにしながら話しを続けた。
「2週間後の日曜日、開けておいてくれる?」
「ああ、分かった。何があるんだい?」
「その日なら、妊娠の心配はないと思うの」
昴が一瞬固まり、その後、ひたぎを強く抱き締める。
「それまで待てる?」
「ああ、慌てる必要は何もない」
「その日はあなたの傍で1日過ごしたい。二人きりでね。どこか落ち着ける場所はないかしら?」
「それなら軽井沢に別荘がある。押さえておくよ。そうだ、今週の週末にでも日帰りで下見に行ってみないか?とても素敵なところで一度ひたぎを招待したいと思っていたんだ!」
「ええ、あなたがエスコートしてくれるのなら何処へでも行くわ」
「じゃあ、決まりだ!」
昴は子供のようにはしゃいで、ひたぎを家まで送リ届けた。