第1章 いったいなんだっていうの?-1
同級生の男の子に、この私が助けられるなんて。
凛とした顔立ちに漆黒の長い髪をなびかせ、背筋の通ったスラリとした立ち姿は誰もが憧れる。彼女の言動、立ち振る舞いは常に気品を纏い、ため息が出るほどに美しいものだった。私立の進学校翠蘭高校の中でも群を抜いた美少女、三蜂ひたぎ。そんな彼女を誰もが敬意とある種の恐れを込めて姫君と呼んでいた。
そんなひたぎが、ある男子生徒に苛立ちを覚えていた。
ただの同級生でありながら、ただ背が高いだけの、ただ顔立ちが綺麗なだけの、いつもクラスの中心にいて、何よりも気に入らないのが学業成績、私より一つ上の学年トップ。
いったいなんだって言うの?
笑うと可愛いところが嫌い!
とても優しいところが嫌い!
遠くを見詰める横顔がとても気に入らないわ!!
私にトラブルが起きると、どうして当たり前のように駆けつけてくれるのよ!!!
本当に大嫌い!
そんな男、許せないわ・・・