箱の中の夢-4
僕らは肌を密着させたままそれを聞いていて、ほんの少しだけのモラトリアムをまどろみの中で過ごした。
外に出れば、僕らはもう他人だ。
適当な距離を保ちつつ、少しだけ知っているような顔をして、目が合うと会釈をするだけの。
僕はGパンを穿き、彼はネクタイを締めると、僕らはお互いに余所余所しくなって、同じホームから行き先の違う電車に乗る。
お湯が温くなっていくのを感じながら、このまま時が止まればいいと、心の中で祈った。
終