箱の中の夢-3
ビクンと反応する彼の体には、昨日僕がつけた無数の赤い痕があり、僕の体にも昨日彼が吸った痕がある。
僕はその痕に従って、なぞる様に彼の皮膚を舐める。
僕の顔にシャワーの飛沫が止めどなくかかっていて、僕は左手で彼の向こうのコックを探った。
「大輔、もう朝なんだかんな」
そう言って顔を真っ赤にしている君が好きなんだと、僕は思う。
コックを捻り、シャワーを止めた左手で彼の背中を撫でると、彼は仰け反って喘いだ。
僕は次第に気をよくし、右手で太ももを擦りながら、唇で胸を吸った。
「やめてくんない……」
かすれ声で彼は言う。
見上げると潤んだ瞳が僕を見ている。
僕は堪らなくなって、彼の頭を押さえつけキスをした。
脳髄を電気が駆け抜けてゆく。
絡んだ唇から唾液が垂れ流れて、彼の首筋を濡らしている。
僕の舌で彼の口腔の深い所までを突くと、まるで僕の性器で彼の中を突いているような気分になってくる。
貪欲で果てのない僕の欲望。
彼を飲み込んでしまうように、凶暴な欲望。
僕は彼の性器に自分の張り詰めてきたものを摺り合わせる。
彼のものももう十分に大きく、手を這わすと彼の腰がゆっくりと揺れた。
荒い息遣いだけが聞こえる。
僕は手を唇に噛み付いたまま、両手で下を扱き始める。彼の手も一つ吸い寄せられたように落ちてくる。
熱く僕らは脈打っている。
淫らに腰を振り合って、僕らは何も生み出すことのない行為に陶酔する。
時折、彼の口から漏れるのは嬌声で、僕の口からも似たような甘い喘ぎが漏れる。
お互いお互いを貪るように、僕らは舌を絡めて腰を打ち付けあう。
熱で頭はドロドロに溶けてゆく。
「ヤバイ」
口を離して僕は彼の肩に額を擦り付けた。
「うん、俺も」
彼の生唾を飲み込む音が聞こえて、彼の欲望が脈打って果てた。
瞼の裏に昨夜の彼の絶頂の顔が思い浮かんで、僕は声を漏らすまいと歯を食いしばって頂点を迎える。
心地のいい脱力感。
体を離して彼を見ると、彼も首だけ仰向いて幸せそうに笑みを浮かべていた。
隣の部屋の玄関のドアが開く音がして、ミュールのカンカンと言うアパートのスチールの階段を鳴らす音が遠ざかっていく。