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想ぃの行方
【青春 恋愛小説】

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想ぃの行方-3

バシッッ!!


突然、後頭部に痛みが走った。
【は、このパターンは…】

「気を付けろって〜」

やっぱり矢田だった。それは私のセリフだっつーの!でも今はかまってるヒマがないので、スルーした。

「何やってんの」

「ちょっとね…早く帰りなよ」

我ながらかわいくない言い方だけど、相手が矢田だから気にしない。
矢田は『ふ〜ん』とつまらなそうな顔をして教室を出て行った。



――――麻衣や矢田が帰ってからどれだけ経っただろう。…………約二時間だ。きっと他の人は探し物に二時間もって笑うかもしれない。だけど、誰に笑われたってあれは大切なもの。見つからなきゃ困るの。
しかし、さすがに疲れてきた。教室に戻り机の上に座り込んでいると、突然教室のドアが勢いよく開いた。

「何だ、まだいたのかよ」

どーしてこの男がまだいるのか…。

「何でもいいでしょ」

そう言うと、矢田は隣の席に座り黙りこんだ。
しばらく沈黙が続いたが、耐えられなくなり私から口を開いた。

「な、何か喋ってよきもち悪いじゃん」

すると矢田はポケットから何かを取出して、私の前にかざし、言った。

「探し物は見つかった?」

矢田の取出したものは間違いなく私の探していた物だった。驚いた私は思わず矢田の手にしがみついた。

「嘘!どこにあったの?」

「体育館」

そういえば体育でバスケのとき暑くなったから長袖と一緒に携帯も軽く放った気が……あのときか。

「さっさと帰れよな。じゃーな」

矢田にしてはおどけた言い方をするわけでもなく真面目に言って、教室のドアを閉めた。
っと思ったら、またドアが開いた。

「冗談だよ、早く来い!」

「は?」

「ジェントルマンな俺が女一人おいて帰るわけねーだろ」

「何が冗談なの」

「だからァ、送ってやるって言ってんだよ!分かったら早くしろ」

わけが分からない。
普通、さっきの場面は『おいていかないでよ』って女が追い掛けるんだって矢田は不服そうに言った。だから私も『ばかじゃないの』って不服そうに言い返してやった。


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