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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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少しだけ、揺れる-1

 


   ◇   ◇   ◇



釈然としない気持ちを押し隠したまま、あたしは午後の業務に取りかかった。


明日の会議で使う資料を作っておくように言われたので、あたしは出入り口の横にあるコピー機の前に立って、延々とコピーをしていた。


リズミカルに排紙されてくる様子を確かめながら、チラッと県税課の方を見やる。


久留米さんは今度は話の通じなそうな老人に応対している所だった。


県税課の仕事内容なんて、はっきり言ってわからない。


職員の人がたまに車のナンバープレートを持ち歩いて何かをしているのを見たことがある。


自動車税を滞納している人に対し、差押えみたいなことをしているのかな?と思うけど、確かめる術もないし、そこまで興味もなかった。


あたしが乗ってるのは軽自動車だから自動車税は1万円もかからないけど、普通自動車を所持していれば、毎年ン万円単位で一気に払わなくてはいけなくなる。


塁が“自動車税ってなんであんなに高いんだよ”とぼやいていたのを思い出した。


そんな塁は、いつも5月末の支払い期限までには払えなくて、7月のボーナスが入ってから自動車税を払っているらしい。



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