少しだけ、揺れる-3
そんな感じでボーッしているあたしの肩を後ろから叩いてきたのは、大久保さん。
「コピー機使っていい?」
見ればいつの間にかコピーは終わっていた。
あたしは慌ててコピーした紙の束と原稿を取り出してから、
「どうぞ」
と立ち位置を譲った。
しかし、大久保さんはあたしを見てなぜかニヤニヤしている。
「やっぱりアイツ、カッコいいよね」
大久保さんは、どうやらあたしが久留米さんに見とれていたと思ったらしく、さらに県税課の方をチラリと見やった。
“カッコいいからついつい見ちゃうんです”なんて普段のあたしなら、からかわれてもサラリとかわせるはずなのに、なぜか顔が熱くなって、何も言えない。
なんでだろう、いつものあたしじゃないみたい。
急に恥ずかしさがこみ上げてきたあたしは、逃げるように自分のデスクに戻った。