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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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少しだけ、揺れる-2

個人には大きな出費になる自動車税、滞納して何度も督促される人も多いらしい。


そのせいか、県税課には逆ギレしたお客さんが怒鳴り込んで来ることが結構多かった。


聞くに耐えない暴言をぶちまける人だって少なくない。


県税課は、いつもピリピリした雰囲気をまとっているように思えた。


県税課の臨時職員のお姉さんは“もう慣れたよ”って笑ってたけど、あたしは県税課に配属されなくてよかったって思っていた。






今、久留米さんが応対している爺さんも逆ギレタイプらしく、静かなフロアに喚き声を撒き散らしていた。


久留米さんは何度も頭を下げつつも、一生懸命何かを話していて、一歩も退いていない。


強い眼差し。微かに聞こえてくる、少し低い声。


そんな彼を見てると、さっきの助けてくれたことが自然と思い出されて、なぜか胸の鼓動が勝手に速度を増していく。


客とバトルの応酬をしている、決して穏やかではない光景は、あまり見ていて気持ちのよいものじゃないのに、あたしは何でか久留米さんから目が離せなかった。




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