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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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少しだけ、揺れる-10

一刻も早くこの場から逃げ出したかったけど、このまま誤解されるのは嫌だ(あたしが『モナリザ』に行ったのは事実だけど)。


だからあたしは真っ赤な顔のまま、


「ホントに友達からもらっただけですって!」


と、必死に弁解していた。


……あたし、なんで嘘吐いてるんだろう。


多分、これが文屋さんや大久保さんならここまで必死に弁解なんてしないのに。


まるで、彼氏がいるのを隠して別の男にアプローチする女みたいじゃないか。


しかし、久留米さんはあたしの必死の言い訳も聞いてないかのように、


「俺、そういうとこ行ったことないからわからないけど、やっぱりいいの?」


なんて、呑気なことを訊ねてきた。


行ってないって言ってんじゃん! 人の話聞けよ!


と、ムッとした反面……、“そういうとこに行ったことがない”という彼の言葉が引っかかった。


――久留米“ゲイ”介。


ラブホに行ったことがないと言うのは、やはり人の目を気にしてしまうからだろうか。


あたしの中で、


ラブホ未経験=ゲイだから入れない


という図式を勝手に作ってしまって、気付いたらあたしは彼に、


「やっぱり男同士だと入りづらいからですか?」


と、口に出していた。


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