別れの予感-1
第10話(最終話) 別れの予感
麻衣の部屋で、祐梨と麻衣は一つのベッドに寝ている。
お互いとも裸である。
祐梨が麻衣の髪を撫でる。
「麻衣ちゃんは便秘していたのね。いつものように、お姉ちゃんに話してくれれば良かったのに」
頭を撫でられて気持ちが和んだ麻衣は、甘えるような声を出す。
「…だって、お姉ちゃん、忙しそうだったし」
「そっか。ここのところ、そうだったね。ごめんね」
「ううん。お姉ちゃんに話せばよかった」
「それで麻衣ちゃんは、病院で浣腸されちゃったの?」
そう言われた麻衣は、隠れるように姉の胸に顔をうずめた。
そして、病院で浣腸されてから今まで一人で抱えていた混乱した感情を解き放った。
姉の豊かな胸の中からすすり泣きが聞こえてくる。
「恥ずかしかったよぅ…」
麻衣にとって姉は、どんな感情でもさらけ出すことのできる、ただ一人の相手なのだ。
祐梨は麻衣の背中を撫でる。
「よしよし…」
姉は、妹の感情がおもむくままに見守ってあげた。
少し落ち着いてきた。
「それで、麻衣ちゃん、病院ではちゃんと出た?」
「うん。いっぱい。…恥ずかしいくらい、いっぱい」
姉はそれを聞いて心から安堵した。
「でも」
麻衣は思い出したように訊いてみる。
「なんでお姉ちゃんは、私が浣腸されて帰ってきたって、分かったの?」
祐梨は妹の背中をさすりながら答えた。
「分かるわよ。浣腸されたことのある人はね、浣腸された人の気持ちが分かるの」
麻衣が顔を上げた。
「お姉ちゃんも浣腸されたことあるの?」
「あるわよ」
ここまで落ち着いて話していた姉の頬に赤みがさした。