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透明な滴の物語U
【同性愛♀ 官能小説】

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別れの予感-6

「ねえ、麻衣ちゃん」
「なぁに?お姉ちゃん」
妹は、あどけない目で姉を見ている。
「麻衣ちゃんは、私がいなくなっても元気でやっていける?」
一瞬、何のことか分からず目が止まった麻衣だったが、すぐに冷水を浴びせられたような表情に変わった。
「お姉ちゃん、なに言っているの?ウソでしょ?」
しかし、姉が用意した答えは妹が期待したものではなかった。
すでに心に決めている様子だった。
祐梨は子どもに言って聞かせるように話した。
「麻衣ちゃんは、来年、受験生になるでしょ?もう邪魔をすることはできないの。私は、もうこれ以上、このおウチにいるわけにはいかないの」
麻衣は焦った。
「お姉ちゃん、昨日のこと言っているの?夜遅く帰ってきたから?邪魔なんかじゃないよ?あんなの、何でもなかったよ。本当だよ」
妹は必死に姉を説得しようとする。
「お姉ちゃんと私は、今までも、ずっと一緒だったでしょ?これからもずっと一緒だよ。」
しかし、姉は静かに微笑みながら顔を横に振るばかりであった。
「ねえ、お姉ちゃん。お願い、出て行かないで!」
姉は困った表情をしたが、妹の願いには応じなかった。

「イヤだ!イヤだ。そんなのイヤだ」
見る見るうちに麻衣の顔が歪み、涙が溢れてきた。
「なんで、お姉ちゃんはいつも私のことばかり優先するの?お姉ちゃんは、いつだって私に譲ってばかりじゃない」
そう言うと麻衣は再び姉の胸に顔をうずめた。
そして大声を出して泣いた。
祐梨は泣きじゃくる子どもをあやすように妹の背中をさすった。
麻衣がこうして子どものように大声をあげて泣くのを見るのは何年ぶりのことだろう。
もう覚えていないほど昔のことだ。
私たち姉妹は、それほど昔からこの狭い家で一緒に暮らしてきたのだ。
しかし、お別れしなければならない時は迫っている。

祐梨は、泣きじゃくる妹の頭を撫でながら思った。
一つだけ確信できることがある。
私たちは、血こそ繋がっていないが姉妹という絆で結ばれている。


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