トラブルの果てに-7
最初にこの業務に携わると聞いた時、果たしてあたしにできるのだろうかとものすごいプレッシャーに押しつぶされそうだった。
初めてお客さんに応対した時は、手が震えて汗びっしょりになってしまった。
けれど何事も経験ってやつで、何度もやってるうちに少しずつ慣れてきた。
さすがに日本在住の外国人のパスポート申請とか、海外からパスポートを取得するにはどうすればいいのかという問い合わせがあった時には、パニックになってしまって、越後さんに代わってもらったけれど。
さらには、未成年のパスポート申請時には、親のサインが必要なのに記入してもらうのを忘れてしまったこともある。
そんなミスをやらかす度に反省を繰り返し、あたしは責任感が徐々に芽生えてきて、やる気のない態度改め、真面目に業務に取り組むようになってきた。
そうなるとあたしもミスがだんだん減っていき、それなりに松村主査らからの信頼も得られるようになってくる。
その時に感じる充足感、これが働く喜びってやつなのかななんて思いながら毎日の仕事をこなしていた。
でも仕事に慣れて来た頃に限って、トラブルっていうものは起こるものなのだ。