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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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トラブルの果てに-5

あたしはというと、久留米さんが何やらワケ有りな過去があると知り、その内容が気になったりしたけれど、それはあくまで好奇心の範囲内。


副島主幹に詰め寄ってまで知りたいってほどではなかった。


ただ、廊下ですれ違ったりすると自然と目で追ってしまう。


無愛想でも、いい男はいい男。


男の人が可愛い女の子に目がいくのと同じ、生理現象のようなものだと思う。


とは言え、あたしの好きな人は塁ただ一人でそれは覆ることはない。


そもそもあたしは一緒にいて楽しい人が好きなんだし、久留米さんみたいな無口な人、一緒にいたって息が詰まるだけだ。


だから、久留米さんとは関わりを持たないまま、ここで2年間を過ごすもんだと思っていた。






臨時職員として働くようになって、早2カ月。


責任のない楽な仕事ばかりをこなしていたあたしに、少し責任のある仕事を任されるようになった。


それは、旅券発行業務。


平たく言えば、パスポートを作る仕事のことである。


私達の街は、県庁所在地であるC市から車で一時間以上もかかってしまうほど遠い所にあるので、この地域の人達がパスポートを申請するのには大体ここを訪れる。


こんな田舎でパスポートを作りにくる人なんてたかがしれてる、と思っていたけど、たまに旅行会社の企画したツアーに参加する団体客が一斉に申請にきたりすることもある。


そうなると旅券発行業務担当の嘱託職員・越後(えちご)さんだけでは手がまわらなくなることもあるので、あたしもその業務に携わることになったのだ。





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