トラブルの果てに-13
「……ですから」
涙がジワリとこみ上げてきて、声が詰まる。
誰かに助けてもらいたくて辺りを見回すけど、そんな時に限って他の職員の人はわざとらしく電話をしていたりして、こちらに気付かない振りをしていた。
「ちゃんとここに来る前に必要な書類を確認して、揃えて持ってきたのに、なんでこんなにスムーズにできないのかな?」
旦那さんが大きなため息と共に、ウンザリ声であたしに詰め寄る。
どんどん上がっていく心拍数と、流れる汗。
あたしは次第に心がパニックになってきて、この人達に事情を話してしまおうかという思いが巡る。
考えて見れば、あたしのせいで受け付けできないんじゃなく、バカ松村とバカ寺内がいないのが悪いんだ。
あたしが悪いわけじゃないってことを話せば、あたしに対してこんな威圧的な態度はやめてくれるかもしれない。
――住基ネットを扱える職員がお昼休みで食事に出掛けてるんで、受け付けできないんです。
こう言えば、責められるのはあの二人になるはずだ。
あたしはそう結論付けると、ゆっくり口を開いた。