プロローグ オブ 『LADY GUN』-2
ドライブ気分で楽しそうに助手席に乗る若菜を見て昔を思い出す静香。自分も刑事になりたての頃、きっとこんな感じだったんだろうなと思った。若菜と同じだ。世の中の悪をやっつけて平和にする。そんな事ばかりを考えていた。
(呑気なもんね♪)
足をパタパタさせながら窓の外を眺める若菜を見てそう思った。
(上原さんも私を見てそう思ってたんだね、きっと。若菜ちゃんを見て思う事は、上原さんが私を見て思った事と同じなんだね)きっと。この子を早く一人前にして、そして守らなきゃって思う。)
上の立場になって初めて分かる事がたくさんあった。若菜を教育すると同時に自分も成長しないといけない…、そんな責任感も生まれたのであった。
聞き込みをしている最中も手帳片手にメモをとる若菜。分かっているんだか分かっていないのだかは分からないが、真剣な目をして頷いて話を聞いている若菜が可愛らしい。
「ねぇ、メモ見せてよ。」
静香が手帳を覗く。
「あ、見ないで下さいよ〜!プライバシーの侵害です!」
「ぷ、プライバシー…」
思わぬ反撃に面食らう。
「人に見られると思うと素直な事書けなくなっちゃうから見られたくないんです〜。」
「そ、そう…」
それもそうだなと思い諦めた。まぁ大して興味があった訳でもないが。静香は車を走らせた。そんな2人が乗る車が走り出すと影から鋭い視線を送る男がいた。すでに裏社会ではモンスターTと呼ばれ名を馳せ初めていた男、そう、田口徹だった。
「楽しむのは今のうちだ。せいぜい刑事ごっこでもして遊んでろ。アニキの恨みは俺が晴らす。俺の恨みも、ね?皆川静香…。」
吸っていた煙草を足元に捨て踏みつけるモンスター。皆川静香と田口徹の人生がいよいよ交錯する時が近づいていた。
(完)