2つのモンスター-9
割と人通りは多かった為、あまり神経を使わずに尾行出来た。住宅街に入ってから細心の注意を払い田口を追った。そしてなかなかの二階建ての家に入って行った。
さりげなくその家の前を通り過ぎる静香。表札には田口と書かれていた。通り過ぎて少し離れた所の影から様子をうかがう静香。すると田口が美人で若そうな女性と玄関を出てきた。ホットパンツにピチTに茶髪。完全にギャルだった。
(ど、同棲してるの!?)
ますます田口が分からなくなった。どれだけ派手な女性関係を持ってるのかただただ驚いていた。しかし次の瞬間、もっと驚く事になる。
「脚、出し過ぎじゃね?お母さん。」
(お、お、お母さん!?)
腰が抜けるかと思った。どう見ても自分より若く見えた。
「街の男の視線がたまんないのよ♪」
「30歳過ぎたババァの脚なんて誰も見ねぇよ♪」
(え?あれで30歳越えてるの!?)
知れば知るほど驚く。
「コラッ!母親に向かってババァとな何よ!!」
頭を殴る母親。
「痛ってぇなぁ…!買い物付き合ってやんねーぞ!?」
「じゃあご飯いらないのね?私だけじゃ持ちきれないんだからグダグダ言わず付き合いなさいよ?」
「ちっ…。じゃあゲーム買ってくれよ。」
「買わない♪」
「ケチ。」
何だかんだ言いながら仲良さそうに出掛ける親子。買い物中もつけてみたが仲の良い普通の親子だった。
(ただのエロい元気な大学生なのかなぁ…。母親の買い物についていくなんて口では憎まれ口叩いてるけど本当は優しくていい子なのかな…。)
尾行を終えた静香の率直な感想だった。
尾行を終えた静香は署に戻り集まった情報をまとめて仕事を終えた。そして携帯を取り電話したのは彼氏の角田俊介だった。
「もう終わる?あ、そう♪じゃあ終わったら会わない?うん♪うん、あはっ!分かった。先に帰って待ってるね?じゃあね♪」
静香は俊介を家に誘った。お泊まりする約束をした。なぜなら田口を尾行して色々と悶々させられてしまったからだ。静香は家に帰り俊介の到着を心待ちにしていた。
その夜、静香は…燃えた。