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強姦主義者 『T』
【レイプ 官能小説】

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復活への道-7

 静香はある場所に向かった。それは正芳の墓だ。正芳が亡くなってからちょうど1ヶ月、9月5日の事だ。白髪頭のまま化粧もせず服だけ着て部屋を出た。途中花束を買い墓地に向かった。職員に正芳の墓の場所を聞きゆっくりと歩いて向かった。
 正芳の墓に近づくと、墓の前に誰かが座り墓に向かい話しかけているのに気付く。制服姿の少女…、それは娘の若菜だった。静香は慌てて他の墓に隠れて様子をうかがった。若菜の言葉をジッと聞いていた。
 「お父さんは絶対反対するかな?私が刑事になるって言ったら。でも好きにしろって素っ気なくしながらいつも私の事を見守っててくれそうな気がする。意外と私には甘いもんね、お父さん。密かに一緒に捜査するのを楽しみにしてたりして…。したかったなぁ、お父さんと捜査。2人で悪い人達を懲らしめてやりたかったなぁ…。」
 墓に手を当てながら微笑みを浮かべる若菜。
 「お父さん知ってる?お母さんね、涙も流さないで冷静にしてるふりして毎晩誰も見てない時にお仏壇の前でずっと泣いてるんだよ?アナタ、どうして死んじゃったの?これから私はどうすればいいの?とか。」
 (えっ!?)
びっくりした。麗子は強い人だと思っていた。自分の夫を亡くしたのにも関わらず自分を励ましてくれた麗子は凄い人だと思っていたからだ。そんな麗子の本当の姿を知って驚いた。
 「きっと自分が動揺したら私達が不安になるし余計悲しんじゃうからお母さん、強い母を演じてるんだね。お母さん、誰よりも辛くて不安で悲しいはずなのにね?凄いねお母さん。さすが刑事の妻だよ。」
 (…)
胸が苦しくなる静香。
 「でも私だって刑事の娘。お父さんが守ろうとしていた平和は私が守る。私は逃げない。そりゃ怖いし不安だけど、でも私はお母さんの子供だもん。刑事が不安がってたらみんな不安になっちゃうもんね。私は刑事になる。絶対なる。約束する。お母さんを絶対悲しませないって約束する。だからお父さん、いつまでも私達の事を見守っててね?」
そう言って手を合わせた。
 「じゃ、またね?お父さん!」
若菜は空を見上げて微笑みを浮かべながら歩いて言った。
 (私は影に隠れて俯いてる…)
若菜が眩しい。自分が惨めだ。静香の思い視線は地面からゆっくりと上へ向く。
 (辛いのは自分だけ…?悲しいのは自分だけ…?違う…違うでしょ!逃げたら終わりじゃない!せっかく上原さんが私を守ってくれたのに。どうして守ってくれたの?立派な刑事になるためじゃない!ここで逃げたら上原さんの死を無駄にしちゃうじゃない!上原さんの志がそこで終わってしまうじゃない!それを継がなきゃ命を助けて貰った意味がない!何してるの皆川静香!!逃げてる場合じゃない。私は刑事…刑事でしょ!)
静香の視線はしっかりと青空を見つめていた。
 (上原さん、見ててください、これからの私を…。)
静香は上原の墓前に手を合わせ力強く立ち上がった。


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