家族-5
「えっ…?今、何て言ったんですか…?」
早朝、麻耶の電話で目を覚ました田口。寝ぼけてはいないが耳を疑った。
「高田君が…亡くなったの…。」
聞き返しても同じだった。受け入れがたい真実を突き付けられた。
「な、何言ってんですか、麻耶さん…。嘘でしょ??」
「嘘じゃないの。昨夜、警察との銃撃戦で撃たれて亡くなったの…。」
辛そうな声を絞り出す麻耶。
「何で銃撃戦になんかになるんですか!?何でアニキが銃なんかを…?」
「それは今捜査してるとこなの。喜多君は警官を射殺して逮捕された…。」
「は!?何で喜多さんが警察殺さなきゃいけないんだよ!?」
「詳しい状況とかまだ私にも分からないの。でも高田君が亡くなって喜多君が逮捕されたのは事実なの。だから田口君は暫くR4には関わらないで?」
「訳分かんねーよ!?何が起こったんだよ!!」
気が動転した田口は電話を一方的に切りテレビをつけた。するとそのニュースをやっている最中だった。
『昨夜、山中の倉庫内で逃亡した麻薬密売人と見られる男2人と警官2人の間でじゅうげきがあり、男1人と警官1人が死亡しました。現場には大量の麻薬や違法薬物があり、警官を射殺した男から事情を聞いている模様です。亡くなった容疑者は現場に居合わせた女性警官により発砲を受けた模様で捜査に問題がなかったのか波紋を呼びそうです。』
生々しい現場の映像が流れた。亡くなった高田と警官の顔写真、逮捕された喜多の顔写真が映った。
「な、なんだよコレ…?嘘だろ…?嘘に決まってんじゃねーかよ!!」
感情の高まった田口は拳でテレビを殴りつけ破壊してしまった。
「嘘だ!!」
本当の兄のように慕っていた高田の死に田口は泣き叫んで気が狂ったかのように暴れた。
どのくらい暴れていたのか覚えていない。気付けば部屋の中は見るも無残に破壊されていた。
「あ…、ごめんアニキ…。アニキに買ってもらったものを…」
田口は体の力が抜け床にうなだれる。
「嘘だろ…?嘘だよな…?」
床に破壊され転がった破片を一点に見つめる。出会ってからの思い出が次々に浮かんでくる。親にも見捨てられた自分を当たり前のように迎え入れてくれた高田。笑顔しか思い浮かばない。
「アニキ…」
悲しみが止まらなかった。