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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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出会う-1

 


   ◇   ◇   ◇



「はい、ご苦労さん」


課長はにっこり笑ってあたしが作った会議の資料を受け取った。


作ったっていっても、コピーして、ホチキスで留めただけなんだけど。


それでも丁寧に頭を下げてくれる課長に向かって、あたしもまたにっこり微笑んで、


「じゃあ、失礼します」


と、自分のデスクに戻った。


課長の綺麗に禿げ上がった頭は、テカテカ光ってまるでプラスチックのようで、夏はさぞかし涼しいんだろうななんてどうでもいいことを思いながら。


課長から言われた会議の資料作りと、その会議のためのお茶の準備、備品の補充を終わらせて一段落ついた頃に、あたしは喫煙室に向かった。


職場での恋愛が無理だと悟ったあたしは、今さら男受けを狙った行動は止めることにした。


男の目を気にして人前では吸わなかった煙草も、こんな職場で我慢する必要なんてない。


どうせうちの職場は冴えない男ばかりだし、塁以上の男に出会う可能性なんて皆無だし、周りにどう思われようが構いやしなかった。


そう思って、あたしは喫煙室の扉をバンと勢いよく開けた。


「……あ」


誰もいないと思っていた喫煙室のドアのすぐ横に人がいることに気付き、思わず声が漏れた。




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