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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈ホールドアップ!!〉-5

『さあ、喜多川君。俺を犯罪者呼ばわりするくらい、さっきの言葉に自信があるんだろ?……早く登って調べてみてよ?』

「…!!」


今、明らかに八代に変化が見えた……いつもなら“さん”付けで呼ぶのに“君”で呼んだ……それは景子を下に見た事の表れ……それは、言うことを聞け。と、心の中で思っていたのが漏れだしたのだ……。


『確かめなくていいのか?なら、素直に拳銃を仕舞って家に帰るんだな』

「ち、近付かないで!!」


八代はゆっくりと景子に向かって歩きだした……景子も、明確に襲ってくるでもない八代に発砲出来ないでいる……攻める者と守る者の立場は逆転し、景子は後退りし始めた……。




――――――――――――



『……く…クソォ!!……』


専務はデスクに両手を着き、ガックリと項垂れた。
部下が三人も負傷し、残り数人の部下までも戦意喪失している。

切り札だった文乃の拳銃は暴発の恐怖で使えず、かといって丸腰で勝てるほど春奈は弱くなかった。

専務は拳銃を床に放ると、悔しそうに唇を噛んだ。


「そうよ。手を着けて離さない方が利口よ?……本当は貴方を撃ち殺したくて堪らないんだからね!!」


春奈は勝利を確信した。
拳銃の弾はまだ残っているし、顔面蒼白でブルブルと震えている部下達など者の数ではない。
右手で拳銃を専務に向け、左手で手錠を掴んで慎重に近付いていく。

ようやく一連の事件に一応の終止符を打ち、瑠璃子達や文乃を助け出せる時が来た。

専務は悔しさに顔をグシャグシャに顰め(しかめ)て、身体を震わせていた。
それは今にも泣き崩れそうなほど、弱々しい姿であった。


『……まさか……お前がこんなに強いとはな……』


床に散らばる書類を踏みつけ、春奈は専務の傍まで来た。
その見下ろす視線は、散々専務が麻里子や瑠璃子にしてきた物と変わらず、心の奥底から軽蔑している凍てつく輝きに満ちていた。


「……これから警察署に行って、洗いざらい話して貰うからね」


じりじりと春奈は近付き、手錠を専務の手首へと伸ばした。
この拘束具が絡み付けば、あとは警察署に要請を頼み、景子の加勢に走るだけだ。
脈拍は上がり、心無しか腕が震える……まだ決着は着いていないのに、汗がどっと流れ出した……。



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