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透明な滴の物語U
【同性愛♀ 官能小説】

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止んだ喧噪-1

第8話 止んだ喧噪

麻衣を乗せたタクシーは、S学園が提携している大病院に着いた。

大病院は混雑していた。
平日の病院はこんなに混んでいるものかと、病院に縁のない麻衣には不思議な感じがした。
とにかく賑やかなのだ。
目が不自由な来院者のためのチャイムの音声。
泣いている赤ちゃん。
スポーツの試合を流している待合室の大型テレビモニター。
呼び出しの放送。
自販機にけたたましい音を立てて缶コーヒーを補充している業者までいる。
患者なのか、あるいは関係者なのか分からないが、ザワザワと大勢の人々が広い廊下を通行している。

蛍光灯の明かりが落とされた暗い診察室で、麻衣は医者とともにレントゲン写真を見ていた。
麻衣の顔は青白く映し出されていた。
「麻衣さん、分かりますか?この白い部分、これが全部ガスと便です」
そう言って若い医師が腹部レントゲンの結果を説明する。
そう言われても、うっすらとした白い煙のようにしか見えないレントゲン写真は麻衣には良く分からなかった。
しかし、腹部を透かされて充満したガスと詰まった便の存在を晒されたことに羞恥を感じた。

中年のベテランナースにより診察室の蛍光灯が点けられた。
急に明るくなり、自分の姿がはっきりしてくると麻衣はうつむいた。
「微熱の方は大したことありませんね。あとでお薬を処方しておきましょう」
この医師も保健室で学校医が言ったことと同じようなことを言っている。
「しかし麻衣さん。問題はこれですね」
そう言って、先ほどの便秘の証拠が写ったレントゲン写真を指さした。
「とにかく出してしまいましょう。苦しくて動けないようじゃ明日の学校にも響くから」
後ろで一緒にレントゲン写真を見ていた中年肥りのナースに何やら指示を出している。
ナースは、指示を聞くと笑みを浮かべ診察室を出て行った。

麻衣は、言われたとおり地下にある処置室前でベンチに座っていた。


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