あたしの想い人-9
お互いの身体を洗い合ってから、広い浴槽に二人向かい合うようにして浸かる。
“うぃ〜”なんてオヤジくさい声を出す塁。
あたしはそんな彼を笑いながら、浴槽に備えつけのライトを点けてみた。
勝手に照明が落ち、浴槽の中でライトが七色に変化する様子を楽しむ。
さらに、ジャグジーのスイッチを入れて出てくる泡に身体をあてていると、塁があたしの顔をまじまじと見つめてきた。
「どうしたの?」
「ん、気が利くって思ってさ」
「このライトを点けたこと?」
目まぐるしく色が変わるライトを指差せば、塁は笑いながら首を横に振った。
「いや、ヤったあとすぐ風呂入れるようにいつもお湯溜めててくれるだろ」
「ああ、なんだ」
「気が利くし、顔だってなかなか綺麗だし、エロいし、お前マジいい女な」
「なんなの気持ち悪い」
いきなり変なことを言い出す塁に、眉をしかめてしまう。
「お前、職場でいい男でもいねえの?」
「は? 今度は何よ」
脈絡のない話題転換についていけず、あたしは目を丸くした。