あたしの想い人-6
最初のうちはうまくいっていたけど、元々マイナス思考のあたしは、一緒にいるときに塁の携帯が鳴ったりするだけで、塁に電話しても話し中だったりするだけで、たまらず不安になっていた。
心変わりしちゃったんじゃないかとか、女と浮気してるんじゃないかとか、悪い方向にばかり考えてしまい、日増しに塁の行動を逐一チェックするようになった。
あたしの束縛がだんだんエスカレートしていき、疑われることに疲れた塁は、とうとう別れようと言ってきた。
あたしがいくら嫌だと泣きわめいても、彼の気持ちは揺るがなかった。
塁に振られてからはしばらくはろくにご飯も食べられず、寝ても覚めても塁のことを想い泣きはらす日々。
せめて声だけでも聞きたいと、あたしは何度も塁に電話をしていた。
電話をする度、やり直したいと懇願するあたし。
とにかく塁との繋がりを断たれてしまうのを恐れるあまり、なりふり構ってられなかった。
そんなあたしに対し、ヨリを戻すのは無理だと決めていた彼が出した答えは、“セフレとしてなら会ってやる”というものだった。
セフレって言葉に抵抗はあったけど、ヨリを戻したくない彼の妥協案がそうなら、あたしはそれを受け入れるしかなかった。
心が手に入らないなら、せめて身体だけでもいい。
あたしはそれほどまでに塁のことを失いたくなかったのだ。