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ゼビア・ズ・ショートストーリー
【ファンタジー その他小説】

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アンバランス-2


「ん……ちと体温高めだな……ヒき始めに治した方が良い。船に乗ったらゆっくりしとけよ?」

「ん。そうする」

 額を合わせたまま会話した2人は、軽くキスをしてから離れた。
 船のチケット売り場に並ぶデレクシスはキョロキョロおたおた……スりを生業とする人間にとって恰好の餌食な様子で、ゼインはカリーの頭をぽんと叩いてから牽制の為にデレクシスの後方に並ぶのだった。

 船旅は滞りなく無事に終了。
 ファンの港に着くとケイとアメリアが大きく手を振って3人を出迎えた。

「カリー!ゼイン!」

 別れてから4ヶ月余り、ガリガリだったアメリアはふっくらして普通の少女になっていた。

「アメリア〜♪」

 カリーは船の手すりを越えて桟橋にジャンプし……着地に失敗してバランスを崩す。

「ありゃ?」

「カリー?!」

「きゃあっ」

 ぐらっと身体が傾いだのを見てゼインが叫び、アメリアが悲鳴をあげた。

『ククウッ』

 それを間一髪で受け止めたのはケイの相棒、イルカの姿をした水の精霊クインだった。
 カリーを背中で受け止めたクインは、身体を捻ってカリーをしっかりと背中に乗せる。

「わたた……ありがと♪クイン」

『ク』

 どう致しまして、と答えたクインはふよふよとカリーを運んだ。
 ほおっと安堵の溜め息をついたゼインは、安心しながらも首を傾げる。
 いくら本調子ではないとはいえ、これ位の高さなら余裕で着地出来る筈だ。
 確かファンの城には魔導師級の医療魔法使いが居た。
 城に挨拶に行くついでに診てもらおうか、とゼインは考える。


「「は?」」

 ファンの巫女長で魔導師級の医療魔法使いミヤの言葉に、ゼインとカリーは耳を疑った。

「ですから。ご懐妊ですわ。おめでとうございます」

 もう1度言われたが、ゼインとカリーにはにわかに信じる事が出来ない。

「……か……懐妊……?」

 懐妊という事は?

「ええ、妊娠しておいでですわ?」

 ミヤは眉を寄せて言い方を変えてみた。

「……に……妊娠……?」

「ええ。ですから、カリオペさんのお腹の中に赤ちゃんが……」

「んなこた分かってるよ!懐妊?!妊娠??あり得ねぇっ!!」

 何故ならゼインはパイプカットされていて種が無いから。



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