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透明な滴の物語U
【同性愛♀ 官能小説】

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学園の風景-1

第7話 学園の風景

S学園女子中学高等学校は、都市部にある学校である。
今でこそ周囲をオフィスビルに囲まれた都市部の一等地であるが、はるか昔、開学当初はこのあたりも閑散として長閑な風景だったとのことである。
それが、だんだんと学園の周囲が都市化していった。
敷地の中ほどには体育館が鎮座している。
最近建て替えられた新しい体育館は未来的な外観を持ち、まるで学園に着陸した宇宙船を思わせた。

大勢の女子生徒が生活する中高一貫のマンモス女子校であり、伝統的な進学校である。
毎年多くの卒業生を有名大学に送り込んでいることで知られる。
しかしその一方で、伝統を重んじるこの私立学校の方針は保守的であり、そのことがこの学校に対する人気の賛否につながっていた。
たとえば、制服はいまだに紺色のセーラー服であり、昭和の時代から変更することなく今に至っている。
生徒からはデザインの変更を望む声が多かったが、保護者からは好評であった。
しかし、逆に生徒の中にもこのセーラー服に憧れて入学してきた者もいれば、保護者側にも現代風のデザインに変更して良いのではないかという意見もあった。

この時期は冬服に切り替わる頃で、学園の景色は夏服の白から紺色へと染まりつつあった。
今はちょうど授業の合間の休憩時間で、大勢の生徒が階段や通路を移動していた。

高校2年の麻衣のクラスは、次の体育を控えていた。
あの宇宙船のような体育館を使用するのだ。
女子しかいない学校では、着替えも教室の中で気兼ねなく堂々と行われる。
皆、賑やかにセーラー服を脱いでジャージに着替えているところであった。

しかし、その中で一人だけ机に突っ伏したままの女子生徒がいた。
麻衣である。
片腕を枕にしながら机上に顔を伏せ、もう片方の手で下腹を押さえている。
「麻衣、大丈夫?あ、もしかして生理?」
体育のための着替えをしない麻衣を見てクラスメイトが気遣う。
「ううん。いや、そうじゃないんだけど、ちょっと調子悪くて」
麻衣は少し顔を上げたが、また力なく突っ伏してしまった。
原因ははっきりしていた。


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