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透明な滴の物語U
【同性愛♀ 官能小説】

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学園の風景-4

「午後になってからだんだんと…」

問診は目隠しの仕切り板の内側で行われた。
しかし、待合室のソファで座って待っているように言われた千帆がこっそり診察室に入り、至近距離から聞き耳を立てていることには、誰も気がつかなかった。

「ちょっと熱っぽいんです」
そう言う麻衣の状態を老女医が丁寧に診ていく。
リンパ腺を触診し、聴診器で胸の雑音に聞き耳を立てる。
「たしかに、さっきの体温計ではちょっと熱があったわね。はい、ちょっとお口開けて、舌だしてね」
麻衣の舌を覗き込むように診察する。
「はい、いいわよ。お口閉じてね」
高級そうな黒いペンで机上の用紙に何か書き込んでいる。
「お熱の方は、大したことはないわね」
ちょっと熱っぽいだけで、このように動くことも辛くなるほど身体が重くなることは稀である。

はるか昔から、この学校に在籍した数多くの女子生徒を診察してきたベテランの老女医は、直観的に思い当たる病因があった。
「麻衣さんは、お通じの方はいかが?」
麻衣は一発で原因を言い当てられ、少しひるむように目を伏せた。
「それが…、便秘で…。出てないんです。」
その声には焦りと不安が浮かんでいた。
「やっぱりね」
昔から、同じような症状で同じ質問に同じように答える何人もの女子生徒がこの丸椅子に座ってきた。
今の麻衣のように。
ベテラン女医の脳裏に、目の前の丸椅子に座って下腹を擦る女子生徒、苦悩に顔を曇らせた女子生徒たちの記憶がよぎる。
いつの時代も同じであった。
女なら誰でも経験する苦悩に戸惑う若い女子生徒。
老女医はいつも、そんな彼女たちに寄り添い安心させてきた。

「いつごろから?」
「それが、もう1週間になるんです」


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